はじめまして。バックオフィス支援を専門に執筆しています。
本稿では、経理を「担当者ひとり」で回している企業担当者さま・中小企業経営者さまに向けて、リスクと解決策を経営目線で整理しました。
専門用語はかみ砕きながら、数字や事例を交えてご紹介しますので、決裁資料づくりや社内共有にもご活用ください。
1. 一人経理とは? —— 定義と現状
まずは現状を可視化しましょう。
社員規模が 50 名未満の場合、「経理専任をもう 1 名増やすほど売上規模が大きくない」という声をよく伺います。しかし決算遅延やインボイス制度対応の遅れは、取引先や金融機関からの信頼を損ねるリスクにつながります。下表で、自社の経理体制を確認してみてください。
項目 | 内容 |
---|---|
定義 | 仕訳・記帳・請求書発行・給与計算・決算など経理業務全般を 1 人で担当 |
主な対象 | 従業員 1〜50 名の中小企業・スタートアップ・士業事務所 |
背景 | 採用費・教育コストを抑えたい/信頼できる人材が見つからない |
2. 一人経理が抱える 7 つのリスク
経営判断に直結する数字こそ、複数の目でチェックを。
売上計画・資金繰り・税務申告――どれも正確な会計データが前提です。担当者の負荷が高いまま放置すると、下記のようなトラブルが発生しやすくなります。
リスク | 発生原因 | 想定損失/影響 |
---|---|---|
① チェック体制ゼロ | 属人化 | 決算数値の誤り → 税務リスク |
② 休暇取得困難 | 代替要員不在 | 月末処理の遅延 → 取引先への請求遅延 |
③ データ紛失 | 原本保管不足 | 電子帳簿保存法違反 → 最大 1 年間の青色取消し |
④ 不正会計 | 権限集中 | 横領・粉飾 → 信用失墜/金融機関から融資停止 |
⑤ 業務フロー停滞 | 退職・休職 | 経営数値が“ブラックボックス化” |
⑥ 制度改正に未対応 | 知識不足 | 消費税申告ミス → 追徴課税 |
⑦ システム更新遅延 | 手作業依存 | 入力工数増 → 人件費増大・残業 |
3. クラウド会計ソフト&OCR スキャン活用術
まずは“仕組み”でミスを潰す。
クラウド会計ソフトとOCRを組み合わせれば、データ入力と仕訳を自動化し、月次決算のスピードと精度を高められます。
3‑1. 主なクラウド会計 3 製品比較
ソフト | 月額※ | 注目ポイント | 共通機能 |
---|---|---|---|
freee 会計 | 2,680 円〜 | 銀行・POS などAPI 連携が豊富 | OCR 読取/自動仕訳学習 |
マネーフォワード クラウド会計 | 3,980 円〜 | Excel・CSVの双方向連携 | モバイルアプリ/レポート |
弥生会計 オンライン | 3,960 円〜 | 「弥生」会計事務所ネットワークとの親和性 | オフライン入力/PDF 帳票 |
※従業員数やオプションで変動
導入効果イメージ
- 手入力の工数 80 % 削減
- 月次試算表の提出リードタイムが 7 → 2 営業日に短縮
- 電子帳簿保存法に準拠した証憑管理を自動化
4. 経理アウトソーシング完全ガイド
“ヒト”の課題は“外部パートナー”で解決。
業務の繁閑に応じてボリュームを調整できる点は、正社員採用よりもコスト弾力性が高いメリットです。以下の料金表は、弊社がヒアリングした 15 社平均値をもとに作成しています。
4‑1. 料金プランの目安
プラン | 業務範囲 | 月額料金 | 想定伝票枚数 |
---|---|---|---|
ライト | 記帳・仕訳・月次レポート | 30,000 円〜 | 100 枚 |
スタンダード | 上記+請求書発行・支払代行 | 70,000 円〜 | 300 枚 |
プレミアム | 月次決算・給与計算・税理士連携 | 120,000 円〜 | 500 枚 |
ROI の考え方
- 年収 350 万+社保 70 万=社員 1 名あたり 420 万/年
- プレミアムプラン 120 万/年 ⇒ 約 70 % のコスト削減
- 残業削減で人材定着・機会損失低減
5. 導入事例:月末残業 40 h ➜ 5 h に削減
数字で見るビフォー・アフター。
制度対応やリスク管理の観点からも参考になる A 社(製造業 25 名)の事例です。
before / after | 数値で比較 |
---|---|
月末残業時間 | 40 h → 5 h |
財務レポート納期 | 7 営業日 → 2 営業日 |
経理コスト | 月 22 万円 → 月 6.5 万円 |
経営者コメント
「金融機関から“財務体制が整った”と評価され、追加融資がスムーズでした。」
6. 導入手順とチェックリスト
“無料相談 → 試行導入 → 本契約” が王道ルート。
業務フロー図や試算表サンプルを共有すると、見積もり精度が上がります。
- 現状ヒアリング(伝票枚数・Excel ファイル・業務フロー)
- 無料見積もり取得(3 社以上を比較)
- パイロット契約(1 か月)
- 正式契約 & マニュアル整備(アップロード手順・フォーマット)
- 月次レビュー(KPI:仕訳精度・リードタイム・コスト)
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 電帳法対応のため領収書は郵送が必須?
A. 画像アップロードで問題ありません。原本は社内で 7 年保存を。
Q2. 料金は件数で変わりますか?
A. 基本は月額固定。超過分は別途単価 50〜120 円/伝票で調整します。
Q3. オンプレ会計ソフトでもアウトソーシング可能?
A. CSV / API でデータ連携できれば対応します。まずはご相談ください。
Q4. インボイス制度への注意点は?
A. 登録番号・但し書きを OCR で自動チェック。不備は即レポートし、決算時の修正リスクを下げます。
8. まとめ
“数字の精度”と“経営スピード”を両立させましょう。
- 一人経理はリスク高・属人化ゆえ経営判断を遅らせる要因
- クラウド×OCRでミス削減、アウトソーシングでコスト最適化
- 「まずは無料相談で自社に合う体制を検討する」――これが第一歩です
一人経理についてお困りの方は、お気軽にご相談ください
